【事業再構築補助金】事業計画書は審査観点を意識して作成しよう②再構築点 【事業計画書の書き方】

2021年4月14日事業再構築補助金事業再構築補助金,補助金,補助金2021,補助金申請

TenCy株式会社 代表取締役/中小企業診断士の高仲です。引き続き、事業再構築補助金の審査観点の解釈の記事になります。

本記事のポイント
  • 事業計画書は審査の観点を意識して作成しよう
  • 再構築点の4項目に合わせ、事業計画書のどの部分に対応するのか分かりやすく記述するのが推奨されます

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事業再構築補助金の審査の観点「再構築点」の解説

事業再構築補助金の公募要領において、審査項目が公開(P.27~)されています。

事業再構築補助金の公募要領 P.27~より引用

これらの審査項目に従って採点されると思われますので、採点ポイントが分かりやすく事業計画書に記述されていることが推奨されます。

事業再構築補助金の審査項目「再構築①」

事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。

こちらの審査項目①の記述からは、上記マーカーの箇所をしっかりと説明・記述する必要があるでしょう。

事業再構築指針に沿った取組み

再構築指針のどの指針に該当するかを明記し、意識してストーリーを構築するのは最低限必須であると言えます。それぞれの指針について要件を満たす取り組みであることを明記し、指針に従って行うことを明確に伝わるように記述しましょう。

リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行う

こちらは申請書(事業計画書)の根幹となる再構築のためのストーリーの書き方になります。注意点としては、リスクが高い思い切った大胆な事業再構築は、既存事業と全く無関係の事業を始めることを指しているわけでは無い点になります。

こちらで中小企業庁が期待しているのは、私はコア・コンピタンスの考え方であると理解しています。代表的な事例のイメージは、使い古され過ぎて今更感もありますが、私自身も所属していたFUJIFILMの再構築事例でしょう。

コア・コンピタンスとは、企業の中核となる強みのこと。ゲイリー・ハメルとプラハラードが「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」として定義した。両氏は実例として、ホンダのエンジン技術、ソニーの小型化技術、シャープの液晶技術などを挙げている。

グロービズ経営大学院「コア・コンピタンスとは」より引用)

FUJIFILMは、祖業であったフイルム事業のコア技術を活用して化粧品・サプリメント事業を事業化しました。ここでのポイントは、一見無関係の多角化に見える事業転換であるが、核となる技術が存在し、そのコア技術をもとに新たなビジネス領域に進出したことで成功確率を高められた点です。

https://www.fujifilm.com/jp/ja/about/rd/technology

事業再構築補助金の審査項目「再構築点②」

既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高い

こちらの審査項目②の記述からは、上記マーカーの箇所をしっかりと説明・記述する必要があるでしょう。

既存事業における売上の減少が著しいなど、深刻な被害

月次の売上高の推移を、2020年1月ぐらいから直近まで表形式、もしくはグラフ形式で表示しましょう。複数の事業を実施している場合、可能であれば事業別の売上高を表現できると良いでしょう。その中で、コロナウイルス感染症の影響が大きい事業について解説し、現在の事業環境を分かりやすく伝えましょう。

事業再構築を行う必要性や緊要性

上記の売上推移とともに、主要事業の影響が大きいこと、コロナ禍で1年超を経過した段階を踏まえた事業の見通しを示しましょう。何も手を打たずにいると経営状態が危機的な状況となることを数値的に示せるといいでしょう。損益分岐点や予測損益計算などがあるといいですね。

事業再構築補助金の審査項目「再構築点③」

市場ニーズや自社の強みを踏まえ、選択と集中を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。

市場ニーズや自社の強み

市場や強みに関しては「事業化点」の審査観点にもあります。ストーリーの整合性を意識して、分析した市場ニーズやSWOT分析の結果を踏まえて、後述の選択と集中を戦略的に実施したことが分かるように記述しましょう。

選択と集中

事業の再構築を図るうえで、後述のリソース最適化に伴う選択と集中が必須課題であると言えます。事業別にコロナの状況や影響を分析し、With/Afterコロナの新しい生活様式を踏まえて、どのような事業が見通しが立つか、売上拡大に貢献するか、を検討しましょう。オンライン化やIT技術を活用する、非対面型ビジネスモデルとなることが一つのポイントになります。

リソースの最適化を図る取組

リソースは、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源を切り口に分析すると良いでしょう。

ヒト:人員をどのように再配置するか。解雇では無く再配置と、再構築補助金の補助事業にどのようにシフトするかを記述できると良いでしょう。

モノ:機械設備の稼働や固定資産の見直しが観点となります。

カネ:資金の投下配分や融資の計画、投資体力について記述しましょう。

情報:IT技術、デジタル技術の活用という観点のほか、社内にあるノウハウや暗黙知・データも情報リソースの観点になります。

事業再構築補助金の審査項目「再構築点④」

先端的なデジタル技術の活用新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か

デジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等

  • デジタル技術(IT技術)を用いていること
  • 新しいビジネスモデルの構築を実現すること

は、この記述からは「かつ」ではないと読めます。ですが、コロナ禍の新しい生活様式を踏まえた事業の再構築を行う場合、デジタル技術が全くない事業は今の経営環境に沿った再構築と言えるのか?という疑問が付きまといます。

少なくとも、対面接触を減らすようなビジネスであるか、機械化・自働化など人の手が掛からない、人が一堂に会するような労働集約的なビジネスモデルからの脱却などの要素はほぼ必須であると考えています。

どのような形であれ、デジタル技術を活用したビジネスモデルの再構築を検討しましょう。

地域のイノベーションに貢献

地域経済に貢献することが、国債や税金を原資とする補助金を活用する上での必須要件になります。補助事業を実施する拠点・エリアの特性を踏まえて、地域の雇用に貢献すること、や、地域の企業や事業体と連携して社会経済の活性化に貢献すること、を事業計画に盛り込みましょう。

特に、補助事業を実施する拠点を含む地域が抱える社会課題を踏まえて、その課題を解決できる方向性に貢献できることが望まれます。


事業再構築補助金の審査の観点「再構築点」の解説 まとめ

申請が採択されるかどうかは、審査の観点における事業化点と再構築点をきっちりと抑えた事業計画書を策定することが重要です。

ただし注意して頂きたいポイントとしては、審査の点数を取れるだけでなく、実際に採択された後に補助事業を実施する上で必要となる事業計画を書面に落とし込むことで、事業の成功率を高めることが可能です。事業計画書の作成を申請のための作業と捉えるのではなく、補助事業を通じて会社を立て直すための計画をしっかりと立案するように取り組みましょう。

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