小規模事業者持続化補助金でありがちなミスを総まとめ!申請~報告までの注意点

2019年8月4日小規模事業者持続化補助金補助金2019,補助金実施・報告,補助金申請

2019年の小規模事業者持続化補助金の商工会議所地区、商工会地区1次の結果が発表された時期に本記事を作成しています。

いまさら申請のミスを、と言われても仕方ありませんが、恐らく来年も実施されるものと想定して、今回や過去にあった申請時の注意点、報告の注意点を総括しておこうと思います。

  • 小規模事業者持続化補助金の申請時の注意点、ミスりがちな個所を知ることができる
  • 小規模事業者持続化補助金の採択後、報告時までの注意点、ミスりがちな個所を知ることができる

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小規模事業者持続化補助金の申請時の注意点

(Photo by 友人カメラマン ヒロタケンジ@ぱくたそ)

申請時の注意点は、申請書の作成の部分が主ですね。
その中でも注意すべき点(分かりにくい点)の代表的な部分は、経費計上の部分でしょう。

これまでの過去の申請サポートの中で、私自身がミスをしてしまった点、直前でミスに気付いた点など、特に間違いやすい部分を挙げていきます。

注意

下記のポイントは、2019年の持続化補助金の公募要領をベースに記述しています。

この経費、持続化補助金に計上できる?経費で間違えやすいポイント

機械設備は、新品と中古品で上限金額が変わる

中古品は税抜きで50万円未満であることが条件にあります。

パッケージのデザイン外注は広報費では無く開発費

何年か申請サポートをしていると、大半が広報費で計上することに慣れてしまいます。
特にホームページやチラシデザインの経費計上が多く、デザイン=広報費とインプットされやすいです。
パッケージのデザインは開発費になるので、注意が必要です。

会社案内・名刺・SEO対策など、一般的な広報費の中で計上できない経費がある

なんでも広報費、という癖がついてしまうと、こちらも危ないです。
広報費の中でも、補助対象とならない経費が結構あるので、注意しましょう。

雑役務費は人材派遣会社への外注でも大丈夫

通常の雑役務費では、短期パートアルバイト雇用もしくは派遣労働者が想定されています。
公募要領上、「労働契約書などの提出が必要」とあり、派遣人員とは労働契約なんて結ばないよ!という方も多いかと思います。

私の過去の相談対応事例では、労働契約書は報告時に提出せず、派遣会社に対する見積書・発注書・請求書・作業完了報告書を報告することで認められた事例がありますので、人材派遣会社に対する臨時作業員費も計上は可能です。

経費の金額を考える際は、消費税の課税を確認

免税事業者か、簡易課税/原則課税かで、経費計上時の金額が変わってきます。
経営者に聞いてもどちらか分からないケースが大半なので、顧問税理士に確認してもらうように依頼しましょう。

小規模事業者持続化補助金の採択後~報告実施までの注意点

報告を行う際にも、注意点があります。
これを見落とすと補助が受けられないリスクもでてきますので、しっかりと準備をしましょう。

持続化補助金の報告に必要な書類は、経費ごとにしっかり確認を

特に、これまで付き合いのあった方への仕事の依頼や、個人事業主~小規模企業サイズに依頼する場合、契約関係の書類が無く報告の際に慌てて書類作成を依頼するはめになることがあります。

補助金の経費は必要書類を整えるところから始まりますので、後になって改めて作成を依頼する必要が無いように、仕事の依頼時に必要書類を確認しておきましょう。

特に見落としがち、間違えがちなところを挙げておきます。

経費の発注・契約が可能となるのは「交付決定通知書」に記載の交付決定日以後の日付

経費が発注できるようになるのは、採択結果発表日、ではありません
勘違いしがちなのですが、結果発表後に郵送される「交付決定通知書」に記載の交付決定日以後になります。

なお、書類は2通届くので、それも混同しないようにしましょう。

「交付決定通知書」が届くまで、経費の発注・契約はできない

各書類の日付が妥当な時系列となること

依頼先が個人事業主の方など、書類作成に慣れていないケースは要注意です。

1
見積書

作業の見積書を作成してもらいます。補助金の採択前の日付でもOK

2
発注書/契約書

「交付決定通知書に記載の交付決定日」及び、見積書の日付より後であることを確認しましょう。

3
請求書

発注書/契約書の日付より後であることを確認しましょう。
また、常識的に考えて発注~請求までの間があり得ない短期間になっていないように確認しましょう。慣れていない委託先業者は、たまに発注書と請求書の日付を同じ日で出してきたりします

4
支払の証書

振込日、及び、処理日が請求書の日付より後であり、かつ補助事業の期間内に収まるように対応しましょう。

外注・委託業務の「納品書」「作業完了報告書」を忘れない

機械設備の購入においては、納品書が付されることが通例なので見落とさないでしょう。外注や委託費の場合、殆どのケースで発注者側からこの書類の作成を依頼しないと書面がでてこないので確実に作成+社印の押印を依頼しましょう。

ネット広告は、 実績を示す書類作成の要注意費用

報告時には、実際に経費を使って実施した完成物も提出が必要となります。
例えば、ホームページならトップページを印刷したもの、チラシなら実物、といったように。

ここでややこしくなるのが、ネット広告の配信です。
ネット広告は、実際にお金を使って出した時の一定期間にしか画面上に表示されません
つまり、広告配信(Facebookで言うところのクリエイティブ)データを作成している過程か、出ている様子をスクリーンショット等でその時に残しておかないと、後から準備することがシステムによっては苦労したりできなかったりします。

ネット広告を出稿したら、作成した広告データや表示されている様子をしっかり画像に残しておきましょう。

1件100万円超のものは、相見積もりか選定理由書が必要

1件100万円を超える経費は、原則として相見積もりが必要です。
2社以上から見積を取得し、安い会社を選択する手続きになります。

ですが、事業上の理由により特定の1社に発注したい場合は、中古品の購入でなければ選定理由書を提出することで1社に対する随意契約が可能です。

中古品の場合は金額によらず相見積もりが必須

製造機械などを買う場合は、特に注意が必要ですね。

チラシなどの販促ツールの印刷費は、配布しないと経費に計上できない

印刷するだけでは、経費に計上できません。
事業実施期間内(2019年の持続化補助金であれば、12月31日)までに配布することで、印刷費用が経費計上できるようになります。

(デザイン費用は印刷費と異なるので、配布せずとも計上できます)

特に枚数を多く計上している場合は、計画的に配布を実施していきましょう。

チラシなどの印刷費は、期間内に配布することで経費計上できる

2019年10月以降、軽減税率の開始、消費税10%になることの影響

消費税が10%になり、軽減税率が開始されることは、小規模事業者持続化補助金の実績報告にも影響があります。

具体的には、請求書および領収書には、2019年10月1日以降の請求日(つまり、支払うべき金額が8%と10%の二種類が混在し得る場合)のものは、消費税率か消費税額の少なくともいずれか一方が記載されていることが必要です。

良くある「税込み〇円」といった記載は、全て10%として計上されてしまいますので、特に軽減税率対象の商品が含まれる場合は注意が必要です。

ただ、持続化補助金の経費で8%(軽減税率)になるものって、ちょっと想定しにくいですね…試作品開発のための原材料とかでしょうか。

いずれにせよ、突っ込みどころは少ない方が報告がラクなので、税率か税額は記載してもらいましょう。

チェックポイント

経費の請求書、領収書には、消費税率か消費税額を記載して貰おう。
税込み〇円、といった記述は要注意。

現金対応は避け、クレカもできれば避けて銀行振込で処理する

現金処理は色々とトラブルの元です。
2019年の持続化補助金から、1取引10万超の現金支払いは不可となりました。

クレジットカード処理も、色々と条件が付されています。
ややこしいので、極力回避しましょう。

  • 補助対象期間中に引き落としが確認できることが必要
  • 補助事業者と立替払い者間の精算(立替払い者への立て替え分の支払い)が補助対象期間中に行われる

ここでの要注意ポイントは、年末などの補助実施期間ギリギリの支払いです。
原則として、振込依頼ではなく期間内の引き落としが確認できないと経費に計上できません

要注意ポイント:引き落としが補助実施期間内にされないとNG

・クレジットカードは翌月引き落としの場合、補助実施期間の最終月(12月)に使っても間に合わない可能性があります
・銀行振込は、年末年始の送金停止期間の前に実施しましょう

avatar
社長が個人のカードで立て替えてしまったら?
avatar
カードの引き落としと立替清算の両方が補助実施期間内になされることが必要です

色々と分かりにくいルールが多いので、極力銀行振り込みで対応しましょう。

申請時と住所などの登録情報が変わる場合、変更届を提出する

これも見落としがちです。
こちらに記事を書いていますので、忘れずに対応しましょう。

可能ならさっさと持続化補助金の報告は済ませよう

補助金の入金は、報告作業を実施してから2~3か月かかるケースもあります。
報告を早く済ませれば、それだけ入金も早まります。

キャッシュフローや資金繰り的な観点もありますので、補助事業が終わったらさっさと報告を済ませて入金も早めると良いでしょう。

補助事業の経費の金額が変動する場合は要確認

これが一番困りごととして発生するポイントかもしれません。

補助金の申請書の作成時は、あくまで見積金額をベースに経費の金額を申請します。ですが、実際に補助事業を実行しようと思ったら、想定よりも多くお金が掛かってしまう、ということはザラにありますね。

その場合に、変更金額によっては事前申請が必要となることがあるので、ややこしいポイントになってます。

単に、一つの経費費目の金額が増加/減少する場合

これは、事前申請が不要です。下記のような例ですね。

ホームページを50万で見ていたが、55万掛かってしまった。

別に、ネット広告を30万計上しており、これはそのまま実施する

この場合、55万に増えた場合は補助額に変化はありませんが、例えばホームページが30万で出来た、等、減ってしまった場合は、当然補助額も減少します。

一つの費目を減らして、その分別の費目を増額させたい場合

この場合、二つのパターンがあります。一つ目は、同一の経費区分(例:広報費と広報費)で変動させる場合、申請は不要です。

ですが、異なる経費区分(例:機械装置費と広報費)で変動させる場合、変更割合が小さい方で20%以上変わる場合には事前の申請が必要となります。ここが分かりにくい。

計算事例を引用します。これで、イメージは分かるでしょうか。

補助対象経費を「機械装置等費:40万円」、「広報費:35万円」で補助金交付申請額を50万円としていた。
事業を実施する中で、機械装置を当初の見積もりよりも安く購入(32万円)できることとなったが、他方、機械装置等費の予算と実績の差額分の8万円を「広報費」に加えたい。この場合は変更承認申請書の事前の提出が必要か。


本ケースの場合は、「補助対象経費の区分」相互間において、「いずれかの変動が20%以上となる変更」となるため、変更承認申請書の提出が必要です。

計算は以下のとおりです。
①機械装置等費を「40万円」から「32万円」に変更させると、
 ⇒△8万円÷40万円=△20%(20%分の減少)

②広報費を「35万円」から「43万円」に変更させると、
⇒8万円÷35万円=22.9%(22.9%分の増加)

引用:https://h30.jizokukahojokin.info/index.php/saitakuinfo/%E5%AE%9F%E7%B8%BE%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%99%82%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%B3%AA%E5%95%8F/

小規模事業者持続化補助金に限らず、補助金は形式的な作業が重要です

実務からしたらどうでも良いと言いたくなるようなポイントでも、補助金を受領するには重要なポイントとなります。

これらを見落としてしまうと補助金額が減額されたり、取り消しとなったりしますので、注意して取り組みましょう。

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